労働安全衛生法により、従業員が50人を超えた事業所は、産業医の選任が必要となります。従業員の採用に力を入れているスタートアップ企業では、そろそろ産業医を選任しなければいけないのだけど…というお悩みもよく聞きます。産業医を依頼する際は、産業医の資格を持つ医師と直接契約する方法、産業医紹介サービスを利用する方法、医療法人から産業医を派遣してもらう等があげられます。この記事では、産業医の資格を持つ医師と直接契約する場合の注意点について取り上げます。個人の産業医に報酬を支払う際の注意点産業医の資格を持つ医師個人と契約を結んで報酬を支払う場合、産業医紹介サービスとの契約や医療法人との契約とは異なり、源泉徴収や消費税の取り扱いに注意が必要です。個人の医師への報酬の支払いは「給与」に該当する個人の医師と契約し、報酬を支払う場合、業務委託料として支払うのではなく、「給与」として取り扱う必要があります。したがって、報酬から源泉徴収が必要であり、消費税は不課税となります。また、この場合の源泉徴収は、「月額表の乙欄」で計算します。<参考>国税庁HP:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/13/01.htm個人契約の産業医への報酬は「給与」となることから、「源泉徴収票」の発行や「給与支払報告書」の作成・提出も必要となります。法定調書合計表にも給与として算入する必要があります。個人契約の産業医は給与計算システムに従業員として登録するこれらのことから、実務としては、産業医についても従業員として給与計算システムに登録し、源泉徴収を乙欄に設定して給与計算・管理することになります。また、社労士に給与計算を委託している場合は、社員同様に給与計算を依頼してください。まとめ個人の産業医と契約する場合、報酬支払については通常の業務委託契約とは取り扱いが全く異なります。契約する際は、報酬を給与として支払うことについて説明の上、支払方法や支払日について、双方の認識を合わせておくようにしましょう。